およそ清朝嘉慶(1796-1820)の時代の福建省南田県に厳二(げん・じ)という福建少林寺の俗弟子がいた。厳二には詠春(えいしゅん)という娘がいたが妻はすでに他界していた。
南少林寺の五大長老に数えられる武術の達人、五枚師太(尼僧)と至善禅師は厳二の姉兄弟子にあたる。
厳二は少林武術を学んだ後、故郷で豆腐屋を開いて商いをしていた。暇がある時には娘に少林武術の手ほどきをしていたという。
後に、厳二と娘は広東省南雄県に引越し生活し少林武術を伝えた。今でも鶴山地区には厳詠春の位牌が安置されているといい、歴史上実在した人物であることがわかる。
親子が広東省で生活しているとある時、五枚師太が同省九連山の禅寺に住み始めた。
これを聞きつけた厳二は娘を連れて山中の禅寺に向かった。五枚師太は詠春のことをたいそう気に入ったという。弟弟子の厳二の頼みもあって南少林内家拳を詠春に教え始めた。
これが今や世界で伝承されている詠春拳の始まりである。
つづく
参考文献: 詠春拳正史-張勇(星島出版)
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