外国語を学ぶ上で1番大切な前提とは=アプローチを理解して効率的に学ぼう





1-1.話し言葉ありき (Primacy of speech)

 現代言語を学ぶ上で重要なのは、「話し言葉ありき(Primacy of Speeh)」という考えです。言語は一般的に音声と文字の2つの側面があります。私たちが外国語が上手く話せないとか聞き取れないのはどうしてか、音声と文字の違いから考えてみましょう。


 説明のために言語教育(教授法)の歴史を見てみましょう。15世紀のヨーロッパでは、商業や教育、宗教の分野で主要であったラテン語が共通語の地位を占めていました。しかし、16世紀頃になると、政治変動のためラテン語は徐々に衰退し、イタリア語、フランス語、英語がラテン語に代わって主要な言語となりました。話者がいなくなったラテン語は、結局死語となりましたが、その後も読書のツールとして学ばれ続けました。当時の子供たちは文法学校でラテン語の文法やルールを学んでいましたが、実用的なコミュニケーションとツールとしてではなく頭の体操(mental exercise)として学んでいました。18世紀になると教育機関で現代外国語がカリキュラムに取り入れられるようになり、教授法は古語ラテン語の教え方が参考にされました。これがいわゆる文法訳読式(Grammar Translation Method)であり、外国語教育における最初のティーチングメソッドです。(J.C.Richards 2011: A Brief History of English Language Teaching)

 文法訳読式は、文法ルールを学ぶ上では役に立つ側面があるものの、コミュニケーションに必要なリスニングとスピーキングが完全に無視されているのが最大の欠点ですこれが私たち日本人が学校で6~10年英語を習っても英語が自由自在に使えない最大の原因だと言えます。間違った英語教育の方法論(教授法)で教えられた結果、私たちは今でも英語学習に時間とお金をかけています。しかし、逆に言うと、コミュニケーションを学習目標として、リスニングとスピーキングスキルの習得を中心に行えば、実用的な英語を身に付けられるということでもありあます。

 文法、訳読という言葉を聞けば、まさに私たちが学校の英語授業で習った方法ではありませんか。私が当時通っていた高校のカリキュラムには「オーラル・コミュニケーション(Oral Communication)」という科目がありましたが、実質は英文法のクラスで、日本語で授業が行われていました。

 言語には古典言語と現代言語があります。古典言語はラテン語や日本の古文のようにすでに話者が存在せず、もっぱら文学テキストを読解するために使われる言語のことです。一方、現代語は話者が多数存在し、政治やビジネス、教育、宗教などあらゆる生活の場面で使用されている言語のことです。一般的に外国語を学ぶという時は、現代言語のことを指します。両者の大きな違いは、前者が文字のみであるのに対して、後者は話し言葉、つまり音声が中心だという点です。少数言語の中には、文字を持たない言語もありますが、それらも現代言語です。

 外国語を学ぶ上で重要なのは、話し言葉(音、会話)を中心に学ぶことになります。米国の日本語教育に多大な影響を与えた言語学者のエレノア・J・ジョーデン博士は、著書で「スピーキングを強化すれば、リーディングを着実に伸ばすことができる(A solid foundation of speaking is the best insurance that they will make steady progress in reading)」と述べています。

 外国語学習を進める際、音声(話し言葉)を中心に行って、文字(書き言葉)は話し言葉を身に着けるためのツールとして活用することを強くお勧めします。(了)


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