外国語は話し言葉中心に学べ!!4カ国語習得した専門家が言語習得理論を解説 




1-2.言葉と文字の関係 (Language isn’t equal to letters)

 日本に漢字が伝来したのは5世紀で、諸説はありますが538年に中国から朝鮮半島経由で仏教経典として現在の奈良県桜井市に伝わったとされています。漢語は難解であったため知識人や貴族の男性が主に使用していました。女性が文字を使用し始めたのは、7世紀の平安時代のことで万葉仮名という独自の文字使用が始まり、その後同じく平安時代にひらがなとカタカナがそれぞれ発達したというのが定説となっています。

 文字体系ができる前、日本人はどのようにコミュニケーションしていたのでしょうか。もちろん話し言葉(spoken language)で意思疎通をしていました。そして、後世に伝えるべき歴史(ストーリー)や重要な出来事といった情報は、口承(口伝)という形で伝承されました。

 このことからも明らかなのは、言語の成り立ちにおいて、まず話し言葉(spoken language)が成立しているという点です。つまり、話し言葉がありきということです。一方、文字体系(writing system)は、人類が進化する過程において、後に発達した恣意的な体系(arbitrary system)であると言えます。ですから、外国語を学ぶ際に「言葉は話し言葉ありき(primacy of speech)」という点を踏まえて、話し言葉学習方法をデザインすることが大切です。

1-3.子供は文字から学ばない (Children don’t start with letters)

 子供が母語を学ぶ過程と成人が第2言語を習得するそれは、認知能力の発達レベルなどの違いから必ずしも外国語学習に応用できるものではないと考える人もいます。しかし、外国語を学ぶ上で示唆に富んでおり、参考にできるものも多いです。

 私たち日本人が母語の日本語をどのように学んだか考えてみましょう。母親のお腹の中に新しい命として宿った瞬間から、胎児はお母さんや、お父さんの会話や発話を言葉のシャワーとして浴びています(first exposure to spoken language)。お母さんのお腹を通して伝わる音や振動を胎児の時から感じているのです。

 生まれてから幼稚園を卒園する期間(0~6歳)は、子供は話し言葉(spoken language)のみの環境で育ちます。文字教育は文科省管轄の小学校から正式に始まりますが、幼稚園でひらがなを教えるところもあります。少なくとも4、5年は話し言葉のみの環境です。言葉のシャワーを浴びるインプット期間を5年とした場合、単純計算で4万3200時間、半日寝ているとしても、2万1600時間となります。リスニングとスピーキングだけでこの時間数です。

 子供は大量の音声インプット(リスニング)の期間を経た後、次に話すことを覚えます。小学校から文字を学びますが、最初は文字認識つまり読み(reading)で、文章を書く(writing)のはさらに後になります。つまり、母語の習得順序は(1)リスニング、(2)スピーキング、(3)リーディング、(4)ライティングです。


 この過程はどの言語でも基本的には同じです。自然な言語習得の順序は、成人が外国語を学ぶ際に参考にできるもので、リスニングとスピーキングの練習にかなりの時間をあてる必要があることを示唆しています。

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